『The Eternal Now / Chip Wickham』
マンチェスターのGondwana Recordsのレーベル・カラーに触発されながらも、ブレイクビーツやジャズ・ロックなどUKならではの音楽的継承を内在する力作。一聴すると鑑賞性の高いアルバムだが、来日公演を観てそのエネルギーの質の高さに驚かされた。GondwanaにとってMatthew HalsallとChipの二枚看板は心強い事だろう。日本での対バンの実現を望む。
『It's Always About Love / Ancient Infinity Orchestra』
同じくマンチェスターのGondwana Recordsからもう一枚。デビューアルバムRiver Of Lightも素晴らしかったAncient Infinity Orchestraの2枚目。基本路線は前作を踏襲しながらも作曲と演奏の質を上げ、期待を軽く超えて来た。激情&ダンス系ではない、抒情的で鎮静系のファラオ・サンダースの後継的アンビエント・ジャズの中では突出している。
Years Best -沖野修也-
Title : 『Mystic Journey』
Artist : Josef Leimberg
LABEL : Ironworx creative recordings
RELEASE : 2025.8.16
Title : 『The Eternal Now』
Artist : Chip Wickham
LABEL : Gondwana Records
RELEASE : 2025.9.5
Title : 『It's Always About Love』
Artist : Ancient Infinity Orchestra
LABEL : Gondwana Records
RELEASE : 2025.9.26
【沖野修也 (KYOTO JAZZ MASSIVE / KYOTO JAZZ SEXET)】
音楽プロデューサー/DJ/選曲家/作曲家/執筆家/ラジオDJ/The Roomオーナー。2000年にKYOTO JAZZ MASSIVE名義でリリースした「ECLIPSE」は、英国国営放送BBCラジオZUBBチャートで3週連続No.1の座を獲得。これまでDJ/アーティストとして世界40ヶ国140都市に招聘されただけでなく、CNNやBILLBOARD等でも取り上げられた本当の意味で世界標準をクリアできる数少ない日本人音楽家の一人。2006年、初のソロ・アルバム『United Legends』を発表。2009年にはインテンショナリーズが設計したユナイテッド・シネマ豊洲の音楽監修でGOOD DESIGN賞を受賞した。2015年、ジャズ・プロジェクトKYOTO JAZZ SEXTETを始動。名門をブルー・ノートよりアルバム『MISSION』を、2017年6月、KYOTO JAZZ SEXTETのセカンド・アルバム『UNITY』をリリース。同年フジ・ロック・フェスティバル~Field Of Hevenステージにも出演。2018年7月にはDJとして名門モントルー・ジャズ・フェスティバルにも出演を果たした。2021年にはKYOTO JAZZ MASSIVEの2ndアルバム『Message From A New Dawn』を19年振りに発表。2022年にはジャズ・レジェンド森山威男氏をフィーチャーしたKYOTO JAZZ SEXTETの3rdアルバム『SUCESSION』を発売し、5年ぶりにFUJI ROCK FESTIVALにも出演。2022年からは、KYOTO JAZZ MASSIVE with Echoes Of A New Dawn Orchestra名義でバンドとしてヨーロッパ・ツアーを敢行している。2024年にKYOTO JAZZ MASSIVEがデビュー30周年を迎え、6月には30周年記念EP、『KJM EOANDO』をリリース。iTunes Dance album chart No.1、収録曲'Impulisive Processionが、Traxsource Broken Beat/Nu-Jazz chartで、No.1を獲得した。12月には30周年記念コンピレーション、『KJM COVERS』を発表。2025年7月には、KYOTO JAZZ SEXETのニューシングル、「DOSOJIN NO UTA」をリリース。著書に、『DJ 選曲術』や『クラブ・ジャズ入門』、自伝『職業、DJ、25年』等がある。現在、Interfm『Tokyo Crossover Radio』にて番組ナビゲーターを担当中(毎週金曜日22時)。USEN I-12チャンネルにて"沖野修也 presents Music in The Room"を監修している。
http://www.kyotojazzmassive.com https://ameblo.jp/shuya-okino
『Ghosted III / Oren Ambarchi, Johan Berthling and Andreas Werliin』
シドニー出身のギタリスト/パーカッショニストにしてマルチ奏者、オーレン・アンバーチ。
そこにストックホルム出身のベーシスト、ヨアン・ベルトリング、ドラマーのアンドレアス・ヴェルリンが加わったコラボレーション・プロジェクト、GHOSTED。その三作目である。
ミニマルなグルーヴが静かに、しかし確かに脈を打つ。 ベースは回転するようにリズムを刻み、ギターは金属の弦が軽やかに跳ねる。
北アフリカの風を思わせる乾いた気配をまといながら、陽光を反射するような透明な響きで空気を満たしていく。 パーカッションは朝露のようなきらめきを添え、音と風景は抗うことなく、ゆるやかに溶け合っていく。
ストックホルムのセッションで生まれたこの音は、張りつめた静けさをたたえながらも、どこか優しい。
耳を澄ませば、風景の輪郭がわずかに揺らぐ。
『Open Up Your Senses/ Tyreek McDole』
2018年、リンカーン・センター・ジャズ主催のエッセンシャル・エリントン・コンペティションにおいてウィントン・マルサリスから最優秀ヴォーカリストに選ばれ、一躍注目を集めた。
デビュー・アルバムのタイトルトラックで歌われるホレス・シルヴァーの Won't You Open Up Your Senses、ファラオ・サンダースとレオン・トーマスの The Creator Has A Master Plan、The Sun Song (Precious Energy)。 その声には年齢を忘れさせるほどの奥行きと、すでに確かな風格が宿っている。
今年に入ってからもケニー・バロンやセオ・クローカーの作品に客演し、存在感をいっそう強めた。
2025年秋の来日公演も、まだ記憶に新しい。
この声は、まだ深くなる。
『Sparrow's Arrows Fly So High / すずめのティアーズ』
'25年の三枚も原則としてアナログからのチョイスです。こちらは'24年のリリースですが、
アナログのリリースは4月のRSDなので敢えて'25年のYear's Bestにいれさせてもらいました。フィジカルないしデジタル含めてのアルバムでいえば'24年のダントツ一位はこのアルバムだったので満を辞しての紹介ということになります。江州音頭をベースにブルガリア民謡の歌唱も取り入れたポリフォニックスタイルが素晴らしく新鮮で、邦楽洋楽問わず2年にまたがり聴き続けた。ここまで心を揺さぶられたアルバムは10年に一枚のレベルでした。
クロスビーは、マイクロフォンを活かした歌唱スタイルの確立者と言われています。
ポルタメントを滑らかに使ったメロディ処理、さりげない装飾、ロングトーンの柔らかいビブラート、これらは当時として革新的で、後のフランク・シナトラ、ディーン・マーティン、エルヴィス・プレスリー、さらにはジョン・レノン まで影響を与えたとされます。
映画出演も多く『Going My Way(我が道を往く)』ではアカデミー主演男優賞を獲得。シナトラやサミー・デイヴィスJr.そして Rat Pack と共演したミュージカル映画『Robin and the 7 Hoods』も今なお語り継がれる作品です。
1. Silent Night
ストリングスとチェレスタによる静かなイントロからクロスビーの包み込むような声が立ち上がります。途中から合唱が加わり、映画的とも言える壮麗さを持ちながら、どこか家庭的な温かさを失わないアレンジ。
ラジオや映画という当時のメディアを通じ、「クリスマス=ビング・クロスビーの声」というイメージが確立されました。
3. White Christmas
アーヴィング・バーリンが映画『Holiday Inn』(1942)のために書き下ろした作品。
クロスビーの歌唱はあまりに象徴的で、世界的なクリスマス文化そのものに影響を与えました。ここで聴けるのが オリジナル録音 です。
4. God Rest Ye Merry Gentlemen
17世紀には既に歌われていたとされる伝統曲。
クロスビーと合唱団の掛け合い、テンポの微細な揺れ、ストリングスの温かいオブリガートが絶妙で、素朴ながら非常に洗練されたアレンジ。のちのナット・キング・コールやサイモン&ガーファンクルなど、多くのアーティストにも影響を与えた曲です。
5. Faith of Our Fathers(いにしえの聖徒の)
19世紀の讃美歌をしっとりと歌い上げるナンバー。クロスビーの低音の魅力が最も生きるトラックのひとつ。
6. I'll Be Home for Christmas
1943年の新曲として発表され、すぐに戦時下のアメリカで大きな支持を得ました。
兵士の"家に帰りたいという願い"を歌った歌詞が人々の心に響き、クロスビーのバージョンは今なお決定版とされています。
Title :『Merry Christmas』
Artist : Bing Crosby
LABEL : Decca
発売年 : 1955年
【SONG LIST】
01. Silent Night
02. Adeste Fideles (Oh, Come, All Ye Faithful)
03. White Christmas
04. God Rest Ye Merry, Gentlemen
05. Faith Of Our Fathers
06. I'll Be Home For Christmas
07. Jingle Bells
08. Santa Claus Is Comin' To Town
09. Silver Bells
10. It's Beginning To Look Like Christmas
11. Christmas In Killarney
12. Mele Kalikimaka