渋谷区文化総合センター大和田にて、12年間に渡り開催してきた「ジャズ@大和田」の終了を惜しむ沢山の声に後押しされ、新たにスタートしたシリーズ"SHIBUYA MUSIC CROSSOVER"。
同イベントは「日常を彩る、音楽のある時間」をテーマに、若手アーティストを中心にジャンルや世代の枠を超えたライブをお届けするシリーズ。渋谷区民をはじめ、多くの人に良質な文化芸術に触れる機会を提供します。
皆さんこんにちは。マルチ・インストゥルメンタリスト、作曲家の曽根麻央です。
My first jazzということで僕の初めてのジャズアルバムをご紹介します。
僕はjazz.net では毎月Disc Reviewのコーナーを持っていて、ちょうど内容が少し被ってしまうのですが、Ray Bryantというピアニストがトリオでレコーディングしたアルバム『Play The Blues』を紹介します。
Ray Bryant はブギウギやストライドだったりという、古くからある土っぽいジャズのスタイルを継承して、コンサートホールで演奏するレベルに洗練・進化させた素晴らしいピアニストです。
彼は特にソロピアノでの活動が有名なのですが、このアルバムではソロピアノのレパートリーをトリオ編成、そしてゲストのハーモニカプレイヤーを加えたカルテット編成で演奏した内容になっています。
「Gotta Travel On」という彼の代表曲、「St. Louis Blues」「Things Ain't What They Used To Be」などのブルースの有名曲が、とても素晴らしい演奏で収録されています。
Title : 『Play The Blues』
Artist : Ray Bryant Trio
LABEL : M & I
RELEASE : 2000年
【SONG LIST】
01. Gotta Travel On
02. I'm A Just Lucky So&So
03. Slow Freight
04. C Jam Blues
05. Stick With It
06. St. Louis Blues
07. C.C. Rider
08. Please Send Me Someone To Love
09. After Hours
10. Things Ain't What They Used To Be
レイ・ブライアントは1972年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでもソロ演奏を行い、その模様は『Alone at Montreux』(Prestige, 1972)として残されています。これはオスカー・ピーターソンが直前に出演をキャンセルしたため、急遽ブライアントが代役を務めた公演でした。準備不足の中で初のソロ公演を見事に成功させたことで、その後のソロピアニストとしてのキャリアの出発点となった、伝説的なステージです。
今回取り上げる『Montreux '77』は、その5年後に同じフェスティバルで行われたステージで、より洗練されたアレンジと、一般のリスナーにも親しみやすい選曲が並ぶ充実作です。個人的には『Alone at Montreux』以上におすすめしたいアルバムです。
Take the "A" Train(Billy Strayhorn)
有名なイントロに続き、左手の8分音符が強力な推進力を生み出す冒頭曲。ソロはエリントン楽団でのレイ・ナンスの名演を踏まえたフレーズから展開されます。ブライアントは即興よりも、あらかじめ練り上げたアレンジを繰り返し披露するスタイルで知られ、この公演でも完成度の高いソロが聴けます。
Georgia On My Mind(Hoagy Carmichael, Stuart Gorrell)
ストライド奏法を基盤にしたスロー・スウィング。低音で10度をつかむ左手は、彼の大きな手のリーチあってこそ。豊かな響きが魅力です。
Jungle Town Jubilee(Ray Bryant)
短いオリジナル曲ですが、快活なテンポとストライドのリズム感が光ります。ラグタイムの伝統を継承しつつ、現代的なスイングに昇華しています。
If I Could Just Make It To Heaven(Traditional)
ゴスペル/スピリチュアルの伝承曲。ブライアントが好んで取り上げた一曲で、祈りに満ちた美しい演奏です。
Title :『Montreux '77』
Artist : Ray Bryant
LABEL : Pablo Live
発売年 : 1977年
【SONG LIST】
01. Take The "A" Train
02. Georgia On My Mind
03. Jungle Town Jubilee
04. If I Could Just Make It To Heaven
05. Django
06. Blues N° 6
07. Satin Doll
08. Sometimes I Feel Like A Motherless Child
09. St. Louis Blues
10. Things Ain't What They Used To Be